〜非常識な時間の電話〜





       





 私たち4人は何をするわけでもなくて。

 は壁を背に床に座っていて。

 海那はソファーに寝っころがっていて。

 海良は海那の居るソファーの下に座っていて。

 私はテーブルのいすに座っていて。

 
 何のやる気も起きない。



 時間はどれぐらいすぎたんだろう。
 時計を見たら夜中の2:43だった。
 



 そんな中、の携帯が音を鳴らした。

 は自然と部屋の中へ消えていった。



 きっと彼らなんだろう。
 を受け入れてくれる。
 















―――――――――――――――――――――――()


 こんな常識外れた時間に電話をかけてくる人なんて何となく予想がつく。
 それこそ予想が外れたら私は今後一切自信を持たない事にする事ができるぐらい。

 「もしもし?」

 わざと名前を確認せずに普通に出てみる。
 聞こえてくる声を待ちながら。
 だけど返事はすぐに返ってこなかった。
 電話相手から掛けてきたのに一言の言葉を発しない。
 不思議に思ってもう一度同じ言葉を口にした。

 「もしもし?」

 『・・・誰だよ?』

 一瞬私は間抜けな顔をしたかもしれない。(いやしてないかもしれないけど・・・)
 こんな時間に電話をかけてきて誰だ?と聞かれても困る。
 というか。

 「あなたは誰にかけたつもりなの?」

 私は環境的に非常識だと思うし常識があると断言できるわけじゃないけれどこの相手よりかはマシだと思う。
 
 『・・・俺はにかけたんだ』

 「そうならば普通に考えて私はでしょう」

 この相手に正論なんて通用するのかは別として私は正論を言っている。
 それに正直なところ一番意外な相手だったかもしれない。
 でも・・・一番らしい相手だったかもしれない。

 「何がいいたいのよ?回りくどい言い方なんて跡部らしくないじゃない」

 『寝てたのかよ?』

 いつものことだけど私と跡部の会話ははたから見たら噛み合っていないと思う。
 だけど私はそれに不快を感じない。
 むしろ話があったりしたら跡部とは縁を切りたいほど不快に思うだろう。

 「起きてたわよ。だけど普通はこんな時間に電話なんてしてくるものじゃないんじゃないの」

 正論なんて通じない。
 跡部はなんていったって自己中心的な考えを通す人だし。。

 『で?』

 「跡部、もう少し会話を成り立たせようとか思わないの?」

 『成り立たせてるだろ』

 「いきなり「で?」って言う事は成り立つの?」

 『お前こそその意味がわかっていてわざと聞くのは回りくどい』

 
 こういう鋭さは侑士並。
 だけどその一言の答えをまだ私は出せていない。

 「どうして跡部は私に電話しておいて聞き返したのよ」

 無理やり話をそらす。
 跡部が少し機嫌が悪くなったのがわかったけど聞き返してこないとこに感謝する。
 電話の向こうで跡部が小さく溜息をついた気がした。


 『ならもう一度聞く。おまえは誰だ?』

 「私はよ」

 『嘘だな』

 
 あっさり言われたけど私は本当になのだからどうしようもない。
 跡部の意思がわからない。

 「どうして?私は私がだと言っているのに」

 『なら俺の知っているとは別人だろ』

 「・・・・?」

 『俺の知ってるの声じゃなかったぜ』

 「え・・?」


 そんなこと言われてもいつも通りに出た。

 
 『無意識なら重症だぜ?何があったかはわからねぇし、抜け駆けして聞いたらあいつ等が怒るからきかねぇけどな。
  下なんて見たら永遠に尽きる事は無いぜ。無理しろって言うんじゃねぇけど、下より上見てたほうがマシだぜ。
  まぁお前の場合、前を見るべきかもしれないけどな』

 鼓動が早くなるのがわかった。
 又、名の知らない感情が出て来た。
 声が出なくなって耳に全身神経が言ってる気分。


 「・・・そう・・・ね」


 やっとでた結論。
 
 そう、たとえあの人達にはどうしても逆らえないとわかっていても。
 あの人達といた時を戻す事はできないとわかっていても。
 ずっとずっと引きずり続けている。
 だから私には上が見えなかった。
 下しか見てなかったから。
 上を見るのはまだ難しいかもしれない。
 上を向くには動かないといけないから。

 だから前を向こう。

 
 「あのね、跡部」

 『なんだよ』

 
 跡部に甘えすぎてると思うけどでも頼る事は悪い事じゃないと私は思う。
 その気持ちを大事にしていきたいと思う。

 「実はね・・・・・」

 だからすべて海良達の事を話した。
 最後に抜け駆けしたわねって言ったら

 『どうせあいつらにも言うんだろ』

 って返されてうなずいた。


 「私、跡部から電話があるまでずっと下見てたわ。正直自分の中で結論が出そうになかったから」


 海良や海那が居なくなったらあの人達は今度はわざわざ来たりしないか・・・。
 なにかストレスを発散するものが無いと生きていけない人達だから。
 そう思うと竜崎先生のとこに戻りたい・・という考えだって出て来た。
 でもをほっとけない。
 
 永遠にその繰り返し。


 「だけど悪い方向ばかり考えなくてもいいと思う。一緒に住む人が増えて喜ぶべきだと思う」

 
 そんな考えさっきまでなかったの。
 ただ跡部と電話したら思っただけ。
 それだけなの。


 『別にいいんじゃねぇの?』

 
 その言葉に自然と気持ちが軽くなった。
 

 「そうね。長くしてごめんなさい、また朝練で」

 『あぁ、あいつらに余計な事いうなよ』

 「わかってるわよ。・・・・ありがとう、おやすみなさい」

 『じゃーな』





 この気持ち、にも海良にも海那にも伝えたい。

 そう思ったらすぐにもといた部屋に急いで戻った―――――。















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〜・あとがき・〜
予定だとずっと暗いままになっちゃうので跡部でなんとか・・・。
どうしても氷帝よりになっちゃうんだよね。。
最初は青学の誰かから電話がある予定だったのにあんな時間に電話する人思いつかなかった。。
氷帝ならいっぱい居るのに(笑)

 




 
 







 












 

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