〜所詮子供なのだから・・〜
「失礼しました」
部活後・・ってメールに書いたけど部活に出たら何聞かれるかわからないし、最悪付いて来られそうだったから榊監督に頼んで休ませて貰う事にした。
でも時間的にはちょうどいいのかもしれない。
私一人で行ってもしょうがないのだから。。
そう思う私は屋上で彼が見つけてくれるのを待った。
毎日追いかけっこをしているのだからすぐに見つけてくれるだろう。
だけど私の考えは甘かった。
「居た〜!!」
予想していた声とは違う、でもなじみのある声。
先に私を見つけたのはレギュラーの皆。
ここは屋上。
出入り口は一つしかない。
そこには皆がいる。
逃げられない。
「なにしてるん?部活サボって」
侑士が苦笑しながら近づいてくる。
他の皆も同様に。
「・・・サボってないわ、ちゃんと許可を得てるもの」
「じゃ何してるんだよ」
「・・・・」
あーなんだか猟師に追い詰められたウサギの気分だわ。
私はそんなに可愛くないけれど。
「こんなに気が短いほうだとは思って無かったわ」
せいぜい今日は皆が動く事はないと思っていた。
だから今日中に何とかしようと思っていたのに。
「予想なんてそんなにあたらねぇよ」
「・・そうね、肝に銘じておくわ」
あなた達が予想なんか綺麗にひっくり返してくれる事を私は忘れていたみたいね。
やっぱり焦ってるのかしら・・・。
怖いから。
「で、どうするんですか、先輩」
鳳が何処まで本当かは別として柔らかい笑みを浮かべて聞いてくる。
「そうね・・・後一日だけ待っていてくれないかしら」
要するに彼らはまだ余裕があるうちに来てくれたって事。
そう思ったら心の中で何かが広がっていった。
「後一日だけだからな」
跡部がそう言って皆がうなずいてくれる。
どんどん広がっていくソレは今までに感じた事が無い感情。
「ありがとう」
この言葉を前に言ったのはいつだったかしら。
彼らに会う以前にいったことはあったのかしら。
この感情の名前はわからないけれど。
大切にしていきたい。
だからこそちゃんと話し合わなくてはいけないの。
―――――――――――――――――――――――――――――( )
「」
私が海良と一緒にアノ公園に行っていたら後ろからの声が聞こえた。
勿論そこにはと海那。
私たちは何も言わないまま公園に入っていった。
「それでどういうことなの?」
最初の聞いたのは。
「なにが?」
それに平然と答えるのは海良。
海那も海良に同意しているよう。
「どうして二人が今更来るのよ」
「しかも海那の今朝の発言はどういう意味よ」
私たち4人は別に誰が強いわけでもない。(時と場合によって変わるもの)
それでも私たちの言葉はやっぱり少し焦っていて海良も海那も顔を見合わせて口を開いてくれた。
「結局のとこ俺らも邪魔になったから追い出されたってとこ」
「ちなみに氷帝と青学を決めたのは俺ら。同じ苗字で揃ったらややこしいからこうしただけ」
海良も海那もあっさりとそう言ったけど私ももダメージは大きかった。
「・・・なんで?・・あの人達二人の事は嫌いじゃないでしょう」
そう、アノ親は海良と海那の事は嫌ってなかった。
「たちが居なくなってから発散するものがなくなったみたいで俺らに廻ってきたわけ」
本当に信じられない話なのにあの人達だと思うと納得してしまう。
嫌だ。
「二人とも・・・いまどうしているの?」
の声は驚きとそれと前の闇の混じった声。
その言葉に海良も海那も哀れんだ笑みを浮かべた。
「とのとこに行けって言われて追い出されたんだ」
「あの人達来ただろ?」
もう。
本当に救い様も無い。
でも、本当はもしかしてって思ってたの。
きっとも。
だから会いたくなかった。
話したくなかった。
見つめたくなかったの――――――――現実を。
最近は今まで生きてきた中で一番安全な生活を送っていたからかもしれない。
前まではこんなの平気だったのにすっごく。
痛い。
「俺はもう嫌だ。あの人達に従うのは」
「俺だって反抗したかった。だけど・・・」
海良も海那も言葉を濁す。
「所詮子供なのよ、私たちは」
そう、ただの中学生。
ただ。
本当に笑う事を許されなかっただけ。
涙を流す事を許されなかっただけ。
幸せになる事を。
信じる事を。
願う事を。
許されなかった子供なだけ。
「今は・・・達に頼るしかないんだ」
私達の部屋には2人も人が増えたと言うのに。
声は誰もいないようになってしまった。
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〜・あとがき・〜
すっごい思い入れして書きました。
短時間で凄い勢いで。。
本当の関係はわからないままですが、海良も海那も同じ。って事です。
親がどんどん悪い人になって行っちゃった・・・。
所詮子供なのです、ヒロイン達もそして書いてる私も。。
2004.2.10