〜婚約の利用・前・〜
「なぁ、なにがあったん?」
「私が知っているわけ無いでしょう」
侑士が3間目の終わりに1組に来て私だけに話し掛けてきた。
そう、隣に居るはずの跡部が居ない。
めったに休み時間外に行かない跡部が居ない理由はただ一つ。
1限目から行方不明。
朝から機嫌は悪かったけど、悪いだけじゃなくどこか沈んでいるのがわかった。
察しのいい侑士のことだから朝練だけの時間で気付いていたんだろう。
「自分でけりつけられる事なんやろか」
そう侑士が苦笑混じりにいったとき跡部がタイミングよく(悪くかしら)戻ってきた。
「何しに来てんだよ」
相変わらず声のトーンが若干低くオーラーが暗い。
「ええやん、別に。の顔が見たかっただけやって」
「うるさいわよ、侑士」
他の女の子が聞いたらきっと喜ぶんだろうけどそれは私以外の女の子であってこんな事で喜びなんて感じない。
(むしろ気分は下がっていく一方ね)
それにしてもいつもと変わらない会話なのに跡部は相変わらずピリピリしている。
多分他のクラスメートは気付いてないんだろうけど何かと一緒にいる私たちには痛いほど伝わってくる。
(どうしたものかしら・・・)
その事に触れようか悩んでいたら先に侑士が仕掛けていった。
「で、何があったん?」
侑士にしては珍しく直球で正直私も驚いたし跡部も予想外だったのか一瞬黙ってしまった。
だけど跡部は常にトップに居る人間。
すぐに
「なに言ってんだよ」
と返した。
だけど侑士の攻撃は止まらないかった。
「自分なーすべて自分でまるめんならさっさと諦め」
その言葉に跡部は更に嫌そうな顔をしたけど、私はこの言葉を聞いて何となくすっきりした。
侑士がここまで言うのは私があってから初めてかもしれない。。
いつも遠まわし主義のような人だし・・・。
だけど跡部には直球のほうが聞くかもしれない。
侑士はそのまま戻っていって跡部は又教室を出て行った。
一人残された私は誰にも気付かれないように溜息をついて跡部の居るだろう、屋上へ向かった。
「何しに来たんだよ」
屋上に行ったら跡部は振り向く事もせずにだけど機嫌の悪そうな声で話し掛けてきた。
ここには私と跡部しか居ない。
跡部といるようになってすぐに知ったこの場所は跡部のお気に入りのよう。
景色がすきなのかいつも同じ場所に立っている。
「いつまでもピリピリするのは嫌だと思って」
「・・・」
サラサラと気持ちの良い風が吹く。
跡部は何も言わずにいたから私は続けた。
「侑士の言葉じゃないけれどどうしたの」
「・・・なにもねぇよ」
「何も無いのに機嫌を悪くされてはとても迷惑なのだけど」
私の言葉にまた跡部が黙る。
毒舌ってたまに言われるけれど、こうでもしないと私は負けてしまったから。
いつのまにかなっていた癖。
相変わらずサラサラと風が吹き込む。
ふとその風にのって跡部の声が耳に入ってきた。
「今日あいてるか」
えっ?
――――――――――――――――――――――――( 慈郎 )
今朝から跡部が機嫌悪いのは知ってたけどこんなのひどいよね。
俺達の機嫌を最悪にしといて。
隣で岳人が叫んでる。
「なんでと跡部が二人揃って休むんだよ!!!!!」
どこに遊びに行ってるの?
ねぇ、跡部、・・・・・・・・・。
←back
next→
←back to top
〜・あとがき・〜
あ、あはははは・・・・・。
ココでは深く語れないので次読んじゃってください。。
サブタイトルで何となくわかってると思いますが・・・。
04.03.18