―・お呼び出し・―
ジローは俺たちが忠告したにもかかわらず、逆に俺たちからを守るようにあいつにべったりだった。
岳人なんかはその態度に怒っていたが(単純だからな)俺はに興味が出てきた。
ジローがあんなに一つの物に興味を持つことは珍しい―――。
好奇心からか俺はを個人で呼び出した。
跡部君に呼び出されたのは四時間目の移動教室のとき。
偶然か必然かはわからないけど跡部君とすれ違った。
その時確かに聞こえてきた跡部君の声は
「昼休み部室」
ただそれだけだったけど言いたい事は十分伝わった。
あー最近休み時間がほとんど無いし〜。
それでもやっぱり跡部君には逆らうわけにもいかず(部長だし)昼休み、約束どおり部室へ向かった。
ただ。
予想と違ったのはそこにいたのは跡部君だけだってこと。
「・・・・・・・えっ・・・と・・・・・跡部君だけ・・・・?」
いつも一緒の樺地君すらいない。
「文句あるのかよ」
そういう跡部君の目は相変わらず冷たい。
「ない・・・けど・・・・」
「お前辞めないのかよ?」
「・・・」
跡部君の瞳にじっと見られると迫力負けしてしまいそう。
それに答えようが無い。
辞めるつもりだったけど監督は受け取ってくれないし・・・。
それよりも監督は跡部君に言ってるものだと思ってたから驚いた。
(さっきから予想外れまくり?)
なんともいわない私を監察するように見た跡部君はまた口を開いた。
「お前岳人に殴られてるんだぜ。普通は逆ギレして辞めたっておかしくないだろ」
跡部君の言葉で昨日の出来事を思い出す。
「・・あぁ・・・そういえばそんな事も・・・・」
昨日は色々あったからなぁ〜って!!
また口に出しちゃったし!
自分の癖に嫌気をさしながらそっと跡部君を見たら跡部君が笑い出した。
「な、なに!?」
「くっ・・・お前本気で忘れてたのかよ」
必死で笑いをこらえている跡部君。
「だって・・・・そんなにたいしたことじゃないかと・・・」
そう答えた私に跡部君はまた笑い出した。
(だって本当に昨日は色々あったし。。。なによりの言葉を優先に考えてたし)
「お前変な女だな」
ようやく笑いが収まった跡部君が最初に言った言葉だった。
「・・それは失礼に値する言葉・・・じゃないの?」
「本当のことだろ」
やっぱり跡部君には何を言ってもやってもかなわないらしい。
でも跡部君がこんなに笑ってるのってはじめてみた気がする。
(ファンの子達が見たら倒れそう・・・・その前に私が殺されるかも・・・・)
「ジローの奴が興味持ったのがわかる気がするぜ」
「・・え?」
「お前名前なんだっけ」
「え・・だけど」
(質問には答えようよ!跡部君)
「、昨日ジローと何話してたんだよ」
そういう跡部君は目つきが変わった気がした。
少なくともさっきよりかは刺々しさが減っている。
「えーっと私が図書室で部員たちのスコアを書いてたらジロー君がきて」
「全員のスコア取ってるのか?」
「正レギュラー以外は一応ね。まぁそれが私の仕事だし。」
そういうと跡部君はまた黙ったから続きを話す。
「あとはジロー君の夢の話とか嫌いな先生の話とかー?」
今から思えばよくこんな話題で盛り上がったな・・・。
そんなことを思っているとまた跡部君が口を開いた。
「ならとはどういう関係だ?」
ふいにそんなことを言われて私は驚いて跡部君と目を合わせた。
隠す必要は無い。
でもー――――――――――。
「ただのマネージャー同士だけど?」
は望んでいない。
言われたわけじゃない。
ただただ伝わってくるの思い。
が望まないことはしたくない。
「あ、そろそろ戻らないと」
気付けば昼休みも後5分という時間だった。
深く聞かれたくなかったから丁度いい。
私は立ち上がってドアの方に向く。
これ以上跡部君と目を合わせてはいられない。
「あぁ、じゃぁな」
そんな跡部君の言葉を聞いて、私は部室から出た。
『永遠に許されない』
『永遠に許さない』
『私の罪の重さは計れないの』
―・あとがき・―
次の理解者=跡部君です。
次回はとうとう従姉妹が衝突!?