― 続・変化 ―
「先輩!」
宍戸君と別れてなんとなく・・・教室に戻る気分じゃなくてウロウロしてたら後ろから私を呼ぶ声がした。
振り向いたらそこには2年生の鳳君。と認知したとき5時間目開始のチャイムが響いた。。
「・・・あーあなっちゃった。鳳君もこのままサボるんでしょ?」
「え、えと、はい・・」
「なら一緒に裏庭に行かない?あそこ涼しいよ〜」
私の誘いを断る事もせずに鳳君はついてきた。
なんとなく彼の話は分かる。
もとはとっても優しい子って知ってるし。
宍戸君の為にレギュラー落ちをしようとしたりした事も知ってる。
「あ、あの」
裏庭に着いたらすぐに鳳君が口を開いた。
「ん?」
「本当に・・・すみませんでした・・・」
礼儀正しく頭まで下げてくれた彼に私は慌てて駆け寄った。
「そんな謝らないでよ!気にしてないし、ね?」
一生懸命言ったらようやく顔をあげてくれたけどその顔はやっぱり暗かった。
「それよりこっちが謝らないとね、本当に昨日はごめんね」
「あ、いえ全然平気ですから!」
「ならおあいこよ、鳳君も気にしないで」
そうやって私が笑顔を浮かべると彼もやっと笑ってくれた。
「っていうかサボって平気だった?」
「あ、平気です。それより先輩こそサボるの嫌いで・・・」
「ううん、いいの。今日はなんとなくサボりたい気分だったからねv私的には鳳君と会えてよかったよ〜一人でサボるのもなんか空しいし〜」
本当にあの時鳳君に声をかけられなかったってサボってただろうし・・。
そういった時また違う声が私を呼んだ。
「ー!」
その声があまりにも大きくて私も鳳君も焦ってその主を見た。
「・・・向日先輩、見つかりますよ!!」
そう、そこに居たのは向日君。
鳳君に言われて慌てて口を抑えている。
「どうしたの?私に用?」
少し落ち着いた向日君に私は話し掛けた。
鳳君は何も言わずに目をつぶっていた。
「そうだぜ!すっげー探したんだからな!!昼休みだって教室いったのにいねぇし」
「あぁごめんね、コートに居たからさ。それでそんなに大切な用なの?」
「そう!!大切なようだぜ!!!あのなーごめん!!!!」
どんどん声のボリュームが上がっていく彼をそこで一旦抑えてまた私が話す。
「ごめんって・・気にしなくていいよ?」
「だけど俺言ったし・・・殴ったし・・・・ホント悪かった!殴っていいぜ!!!」
殴っていいといわれても私は気にしてないから困る・・・。
だけど向日君は殴られる気満々のようでしっかり目をつぶっている。
「・・・・いいよ、ホントに。グーじゃなかったし」
「怒ってない・・か?」
「うん、昨日は私が迷惑かけたしねー」
そういったら向日君は見るからに肩の力が抜けていった。
「もう俺マジでビビってたんだからな!俺だって殴るとは思ってなかったし・・・今日は侑士からも跡部も殴られてこいって言われるし・・」
忍足君も跡部部長も?
「でもマジ悪かった!」
そう言って向日君はまた私の前で手を合わせた。
隣では鳳君が笑ってる様子が見えた。
そんな二人を見て私も少し悪戯心が出てきた。
「まぁ・・グーだったら監督に言って罰を受けさせようと思ったけどパーだったからスコア書き直して1週間ボロボロの結果を残すだけにしてあげるよv」
「・・・・っ!!!!!」
絶句、という言葉がぴったりなリアクションをしてくれて私も鳳君も声をあげて笑った。
笑った・・・?
「なーんて嘘よ、嘘。でも今回きりだからね、向日君。じゃ、私ちょっとやる事思い出したから先に行くね」
向日君のホッとした様な怒こったような顔を見て私はその場を去った。
彼らに背を向けた瞬間また笑顔は奪われた――――。
「・・・鳳・・・本気じゃない・・よな」
「さぁ?でも向日先輩が悪い事にはどう考えても変わらないのでされてもしょうがないじゃないんですか」
「!!!!」
こんな会話をしていた二人が居たり・・・・・・。
信じられへん。
あんなにあっさり許やなんて。
きっとさんなら岳人の事も簡単に許すんやろうけどちょっと岳人を脅かしてみたら最後まで聞かんと探しに行ってしもうた。
本間・・・変な子やな。
なんて思ってるのクラスメートが居たり。
っていうか俺は何をしてたんだ?
なんで二日前まで呼び出してた相手からサンドイッチなんてもらってたんだ・・?
まるで謝るきっかけをくれたかのように・・・・。
と授業を聞かずに考えてる人が居たり。。。
全てが変化していく中、一人変わらない者が居たり―――――――――――――。
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―・あとがき・―
なんか結局全員と和解しました・・・。
これこそ逆ハー?
あとは最後の一人の変化です。。
2004.6.27